皆さんこんにちは、株式会社オクトパスソフトウェア代表取締役の足立です。
「ITパスポートって、取ったほうがいいの?」
「あんまり意味ないって聞いたけど…」
IT業界やその周辺で働こうとする人から、よくこんな疑問を耳にします。
たしかにネット上では「簡単すぎて意味がない」「転職では評価されない」といった声も見られます。
しかし、現役IT企業として現場の視点から言わせてもらえば、
「意味は確実にある」と断言できます。
むしろ、ITパスポートはこれからの時代にこそ価値が高まる“基礎資格”だと考えています。
今回は、なぜITパスポートが「意味のある資格」なのかを、現場の視点から掘り下げてみましょう。
ITパスポートとは何か?
まず、簡単におさらいしておきましょう。
ITパスポートとは、経済産業省が所管する国家資格(情報処理技術者試験の一種)で、
正式名称は「ITパスポート試験」です。
対象は「ITを利用するすべての社会人」とされており、受験資格に制限はなく、
学生から社会人、非IT系職種の方まで広く受けられるのが特徴です。
出題範囲は以下の3分野にわたります。
- ストラテジ系(経営戦略や会計、法務など)
- マネジメント系(プロジェクトマネジメントやシステム開発手法など)
- テクノロジ系(ネットワーク、セキュリティ、データベースなどのIT基礎)
IT資格とはいえ、内容はビジネス全体を見据えた“ITリテラシー”の確認試験という位置づけに近いです。
IT系以外の職種にこそ役立つ
「エンジニアを目指すならもっと上位資格を取った方がいいのでは?」
という声はごもっとも。
実際、ITパスポート単体でエンジニア職の採用に有利になることは少ないです。
ですが営業、マーケティング、人事、企画職など「ITを使う側の人」にとっては、
この資格の取得は非常に有効であると言えるでしょう。
「SaaS」「API」「DX」「クラウド」といった用語が飛び交う現代、
ITパスポートの勉強を通じてそれらの基礎概念を理解しているかどうかで、
業務の理解度や提案の質が大きく変わります。
採用担当の目線:何を見ているか?
採用担当の視点で言えば、
ITパスポートを持っている = 「最低限の情報リテラシーがある」「学習意欲がある人」
という評価につながります。
とくに文系出身者や、IT未経験者の採用では、学ぶ姿勢を証明する材料として非常に有効です。
もちろん、「即戦力」とまではいきませんが、育成前提の採用であればむしろ好印象です。
さらに、企業によっては新人研修前の必須取得資格として、
ITパスポートを位置付けているところもあります。
社会人の“教養”としてのIT知識
もはや「ITに詳しくなくても仕事はできる」という時代ではとうの昔に過ぎ去りました。
スマートフォン、クラウド、業務アプリ、セキュリティ対策──すべてがITと関係しています。
「IT用語がわからない」
「メールの仕組みがわからない」
「セキュリティ意識がない」
…というのはあまり好ましい状態とは言えません。
これらの知識不足が原因で、重大なインシデントを引き起こす可能性もあります。
ITパスポートで身につく知識は、エンジニアの専門技術ではなく、
「ITを活用するビジネスパーソンに必要な最低限の教養」なのです。
勉強時間のコスパも高い
ITパスポートの試験は、合格率が50〜60%と高め。
だからと言って油断してかかると普通に落ちます。
市販のテキストやアプリを使って1〜2ヶ月コツコツ学べば、十分合格が狙える試験です。
その手軽さに対して得られる知識は実務や日常業務にも即役立つものばかりと、
ローリスクハイリターンな非常にコスパの良い国家資格です。
結論:「意味があるか」は自分次第
「ITパスポートを取るだけで年収って上がる?」
「バリバリのエンジニアになれる?」
──こう聞かれたなら私はおそらく首を横に振るでしょう。
でも、それはあくまで“資格単体の効力”に期待しすぎているだけ。
実際には、ITパスポートは学習のきっかけであり、ビジネスとITの共通言語を手に入れるための入り口です。
どんな業種・職種であっても、これからの時代を生き抜く上で“意味がある資格”だと、私たちは考えています。
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